映画スクエア
2026年5月1日より劇場公開される、第55回ベルリン国際映画祭で観客賞とアート・シネマ賞を受賞した映画「幸せの、忘れもの。」の、本編映像が公開された。
本編映像では、出産を間近に控えたろう者の妊婦アンヘラが、両親とともに補聴器専門店を訪れる様子が収められている。自ら店員とやり取りしようとするアンヘラだが、意思疎通はうまくいかず、母親が代わって用件を伝える。いら立ちをあらわにするアンヘラに、母親は「あなたは他の母親より助けが必要だから、補聴器をつけて」と諭す。さらに、振動機能の有無を尋ねても店員との会話は噛み合わない。やがてアンヘラは感情を爆発させ、「ろう者に接客するなら手話を覚えて!」と言い残し、店を後にする。
エバ・リベルタ監督は、「この映画は聴覚障害についての論文ではありません。私はアンヘラをろう者全体の代表として考えたこともありません。アンヘラは母親になる過程を歩んでいる女性であり、パートナーとの関係に問題を抱え、両親との関係も複雑で、娘に自分のことを知ってもらい、また愛してもらいたいと願う女性です。そして何より、アンヘラはろう者です。アンヘラは世界を受け入れる準備ができているけれど、世界はアンヘラを受け入れる準備ができていないのです」と語るように、“ろう者の物語”に回収されることのない、一人の女性の生の輪郭をすくい上げた作品になっている。
「幸せの、忘れもの。」は、聴こえない世界に生きるアンヘラと、優しく寄り添う夫エクトルを描いた作品。2人は、手話というかけがえのない言葉で心を通わす。アンヘラは陶芸工房で働き、優しい土の匂いと仲間たちにも見守られ、静かで平穏な日々を過ごしていた。しかし、ある“幸せな出来事”を境に、何かが少しずつ揺らぎ始め、やがて再び“疎外の世界”に引き戻されるてしまう。監督を務めるのはエバ・リベルタ。劇作家、社会学者の顔も持ち、そのキャリアは本作にも多大な影響を及ぼしている。監督の実の妹でろう者の俳優であるミリアム・ガルロが、主演を務めている。
【作品情報】
幸せの、忘れもの。
2026年5月1日(金)新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国公開
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
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